初めての飼い猫シロとそのお別れ [我が家のネコたちの思い出]
小学生低学年のころ、シロは我が家にやってきました。
生まれて初めての、飼い猫生活でした。
シロは日本ネコの雄で、名前の通りまっ白で、青灰色の瞳。尻尾もすらりと伸びた、とても美猫でした。
我が家に来たときは、ちょうど子猫から成猫になる途中くらいの歳だったと思います。
シロはとてもきれい好きで、短い毛並みはいつもまっ白でした。
「シロは貴族みたいだね」と家族といつも話していました。
シロは性格が優しくて、腕白な子供達におもちゃにされても滅多に怒りませんでした。
私が布団の上にシロをバックドロップして、びっくりして逃げ出しても、すぐに遊びに戻ってくれました。
シロは野性的なところもあって、狩りは大得意だったみたいです。へびやらネズミやら小鳥やらをよく咥えて帰ってきたりしてました。
こんなときはシロも興奮していて、フーフーと声を出していました。
シロの苦手なものは掃除機。大体どこの猫もそうかもしれませんが、シロも掃除機だけは天敵だったみたいです。
子供の私がシロをからかって掃除機を近づけると、シロは逃げていきます。
ガーガーと音をたてる掃除機。
部屋の隅に追い詰められると、シロはネコパンチで掃除機に反撃を加えます。
その威力のすごいこと!
子供達の執こさに怒って、ときどきシロが私にしてくるネコパンチやネコキックの何倍もの衝撃です。いま思うと、シロは子供の私たちには手加減をしてくれていたようです。
シロとのお別れは突然でした。
一日中シロの姿が見えない日がありました。
夕方になっても、シロが帰ってきません。
私たちはシロが心配になって、探しに行きました。
当時の私の家は一軒の借家で、隣りに駐車場や空き地があって、猫たちは自由に家と外を出入りしていました。
駐車場や空き地にシロはいませんでした。
シロは家と駐車場を隔てる塀の上でひなたぼっこをするのが好きで、そこに座って春の日差しを気持ちよさそうに浴びていたりしました。
塀の上にもシロはいませんでした。
どこにシロがいても見えないほどすっかり暗くなってしまったので、私たちは家に戻りました。
その翌日、学校から帰る途中のことです。空き地の隣の通学路を通っていると、U字溝の中に、ネコが横たわっていました。
たぶん、車に轢かれたのでしょう、灰色の目を見開いて、子供の私にはぞっとするほど怖い表情でした。短い毛並みはすっかり灰色に汚れていました。
「かわいそうに」
とは思いましたが、そのときの私はそれがシロであるとは少しも考えませんでした。
子供の私の知っているシロとは全然違いました。シロはまっ白で、青い目をしているはずですから。
夕飯時、帰ってこないシロを気にしながらその話を家人にすると、「シロかも知れないから見に行こう」と言い出しました。
まさかと思いながら一緒にネコの亡骸を見せに行くと、「やっぱりシロだ、かわいそうに」と言いました。
わたしには信じられませんでしたが、みんながシロだと言います。
みんながシロだと言うので、私も「もしかしたらシロなのかも知れない」と考えるようになりました。瞳は青い光を失って、きれいな白い毛はホコリにまみれて灰色になってしまった、死んでしまったシロなのかも知れない。でも、本当にそうなのかしら?
シロに似ているけれども、違うネコなんじゃないかしら?
半信半疑のうちに、みんなで花壇にお墓を作って、シロの亡骸をそこに埋めました。
それから何日か経って、やっぱりシロが戻らないので、やっと私はシロは死んでしまったのだと得心しました。
私が飼った猫たちとの、最初の別れでした。
「シロは天国に行ったんだよ」と家人は言いました。
『シロは天国の塀の上で、気持ちよくひなたぼっこをしているかしら』と子供の私は考えました。
生まれて初めての、飼い猫生活でした。
シロは日本ネコの雄で、名前の通りまっ白で、青灰色の瞳。尻尾もすらりと伸びた、とても美猫でした。
我が家に来たときは、ちょうど子猫から成猫になる途中くらいの歳だったと思います。
シロはとてもきれい好きで、短い毛並みはいつもまっ白でした。
「シロは貴族みたいだね」と家族といつも話していました。
シロは性格が優しくて、腕白な子供達におもちゃにされても滅多に怒りませんでした。
私が布団の上にシロをバックドロップして、びっくりして逃げ出しても、すぐに遊びに戻ってくれました。
シロは野性的なところもあって、狩りは大得意だったみたいです。へびやらネズミやら小鳥やらをよく咥えて帰ってきたりしてました。
こんなときはシロも興奮していて、フーフーと声を出していました。
シロの苦手なものは掃除機。大体どこの猫もそうかもしれませんが、シロも掃除機だけは天敵だったみたいです。
子供の私がシロをからかって掃除機を近づけると、シロは逃げていきます。
ガーガーと音をたてる掃除機。
部屋の隅に追い詰められると、シロはネコパンチで掃除機に反撃を加えます。
その威力のすごいこと!
子供達の執こさに怒って、ときどきシロが私にしてくるネコパンチやネコキックの何倍もの衝撃です。いま思うと、シロは子供の私たちには手加減をしてくれていたようです。
シロとのお別れは突然でした。
一日中シロの姿が見えない日がありました。
夕方になっても、シロが帰ってきません。
私たちはシロが心配になって、探しに行きました。
当時の私の家は一軒の借家で、隣りに駐車場や空き地があって、猫たちは自由に家と外を出入りしていました。
駐車場や空き地にシロはいませんでした。
シロは家と駐車場を隔てる塀の上でひなたぼっこをするのが好きで、そこに座って春の日差しを気持ちよさそうに浴びていたりしました。
塀の上にもシロはいませんでした。
どこにシロがいても見えないほどすっかり暗くなってしまったので、私たちは家に戻りました。
その翌日、学校から帰る途中のことです。空き地の隣の通学路を通っていると、U字溝の中に、ネコが横たわっていました。
たぶん、車に轢かれたのでしょう、灰色の目を見開いて、子供の私にはぞっとするほど怖い表情でした。短い毛並みはすっかり灰色に汚れていました。
「かわいそうに」
とは思いましたが、そのときの私はそれがシロであるとは少しも考えませんでした。
子供の私の知っているシロとは全然違いました。シロはまっ白で、青い目をしているはずですから。
夕飯時、帰ってこないシロを気にしながらその話を家人にすると、「シロかも知れないから見に行こう」と言い出しました。
まさかと思いながら一緒にネコの亡骸を見せに行くと、「やっぱりシロだ、かわいそうに」と言いました。
わたしには信じられませんでしたが、みんながシロだと言います。
みんながシロだと言うので、私も「もしかしたらシロなのかも知れない」と考えるようになりました。瞳は青い光を失って、きれいな白い毛はホコリにまみれて灰色になってしまった、死んでしまったシロなのかも知れない。でも、本当にそうなのかしら?
シロに似ているけれども、違うネコなんじゃないかしら?
半信半疑のうちに、みんなで花壇にお墓を作って、シロの亡骸をそこに埋めました。
それから何日か経って、やっぱりシロが戻らないので、やっと私はシロは死んでしまったのだと得心しました。
私が飼った猫たちとの、最初の別れでした。
「シロは天国に行ったんだよ」と家人は言いました。
『シロは天国の塀の上で、気持ちよくひなたぼっこをしているかしら』と子供の私は考えました。
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